ごあいさつ

館長就任にあたって

 三島由紀夫文学館は、平成十一年に開設され、すでに九年になります。その間に、『決定版三島由紀夫全集』が新潮社から刊行されましたが、それに際しては、当館収蔵の直筆原稿、未定稿、創作ノート、書簡などが大幅に活用され、かつ、新しく発見され活字化された作品も少なくありませんでした。文学館として大事な役割を果たした、といってよかろうと思います。このような成果を挙げたのを一区切りとして、佐伯彰一初代館長が退き、わたしが後を引き継ぐことになりました。
 三島由紀夫の友人であり、文芸評論家として華々しく活躍された佐伯初代館長とは異なり、わたしはその批評・研究に終始して来た者に過ぎません。しかし、今後は、より肌理細かな資料の整理、収集、保存に努めるとともに、そこを踏まえたうえでの〈三島文学〉の顕彰と、偏見に囚われない研究の拠点として役立つようにすることが求められていると考えています。
 また、〈三島文学〉は、いまも生きて盛んに活動しています。それも文学の領域、国境を越えて。その在りようも追尋しなければならないでしょう。
 こうしたことは、一文学館なり一地方自治体によってできることではなく、多くの方々のご支援ご協力がなくてはなりません。どうか従来に増したご支援ご協力を賜りますよう広くお願い申し上げます。

平成二十年晩春
三島由紀夫文学館館長 松本 徹

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